ジャパン・リスク・フォーラム
リスク・スコアング・ベクトル 暫定 評価 結果 (2014年 11月時点)
2014.11.27  リスク台風マップ

リスク台風マップ

リスクスコアリング・ベクトルの2014年11月改訂評価

スタグフレーションシナリオがアベノミクス成功シナリオを逆転

2011年11月末時点のデータを基に改訂した結果、スタグフレーションシナリオのスコアがアベノミクス成功シナリオを上回り、2013年6月に評価を開始以降初めて、アベノミクス成功シナリオが最も蓋然性の高いシナリオではなくなった。

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設備投資の見通しの弱さがアベノミクス成功シナリオには逆風

設備投資の先行き見込みの弱さに加え、世界経済見通しの悪化と輸出の停滞により、アベノミクス成功シナリオのスコアが下がる一方、スタグフレーションシナリオの蓋然性が相対的に高まった。

我々の評価では、円安はアベノミクス成功シナリオにもスタグフレーションシナリオにもプラスに働くが、最近の急激な円安はスタグフレーションシナリオの想定により近い。同様に、株高は両シナリオと整合的だが、日本の株価は世界の他の市場と比べ、アンダーパフォームしており、これもスタグフレーションシナリオの想定により近い。デフレ継続シナリオは引き続き最も可能性が低いシナリオではあるものの、足下の経済活動の低迷とインフレの反落もあって、6月時点に比べスコアが上昇しており、相対的な蓋然性が高まっている。

構造改革の停滞

TPP合意成立の見通しも立っておらず、労働市場の規制緩和も頓挫しており、構造改革面での進捗がほとんど見られない。これが日本企業の国内設備投資意欲を削いでいる可能性がある。スタグフレーションへの経路から脱却し、アベノミクス成功シナリオの蓋然性を高めるには、民間設備投資と輸出の増加が必須である。

figure2 リスク台風マップ201411[PDF 224KB] Risk map assessment 201411[PDF 139KB]